2023.10.09
パワーメータのご紹介
パワーメータとデジタルマルチメータ
一般的に電力は電圧と電流の掛け算で求めることができます。
電力(P) = 電圧(V) × 電流(I)
直流の場合はそのまま電圧×電流が電力となりますが、交流の場合は実際に消費される電力では計算が異なる場合があります。
回路に容量成分がある場合は以下のように電流波形が電圧波形に対して位相が進んだ状態になります。
この位相差のために交流の電力では、実際に消費される電力(有効電力:[W]) と 消費されない電力(無効電力:[var])の2つが存在します。また全体のエネルギーとして有効電力と無効電力のベクトル和を求めた皮相電力:[VA]と有効分の効率を表す力率(=有効電力/皮相電力)も電力のパラメータとして存在します。
これらの電力を求める場合、同期した瞬時電圧・瞬時電流を連続して測定する必要があるため、マルチメータとは測定方法が異なるパワーメータが存在しています。
パワーメータは2つのA/Dコンバータで瞬時電圧と瞬時電流を同期して測定し電力を計算します。
デジタルマルチメータは1つのA/Dコンバータで実効値電圧と実効値電流を順番に測定します。電力は別に計算が必要です。
電圧波形と電流波形に位相差(力率)が発生していると電圧・電流を切り替えて測定するデジタルマルチメータでは正確な電力を測定することができません、力率が悪い場合は実際の有効電力からかけ離れた値になります。
パワーメータでは電圧・電流の瞬時値の積で瞬時電力を計算し、位相差、有効電力、無効電力、力率などを測定することができます。
電力測定の実態
実際の電子機器では容量・誘導成分が複雑な状態で構成されるため電流波形(赤)はきれいな正弦波ではなく歪んだ形となり、電圧の波形(黄)についても一見きれいな正弦波に見えますが高調波成分を分析すると右図のように歪みがあることがパワーメータでの測定で分かります。
最近の電子機器は待機中は低消費電力動作ですが、ワンタッチですぐに使用できるようになっており、この場合の消費電力は一定でなく周期的に変化することが一般的です。 パワーメータでは十分な時間の積算電力を収集し時間で割ることで、実際の平均電力や電池駆動の場合の稼働時間を算定することが可能です。
IEC62301/EN50564またはエナジースターなどの規格による待機電力測定は測定条件に指定がありますが、当社のGPM-8310/8213は機能・性能は要求水準を満足しています。